IT導入補助金、支援事業者になるには?

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2020年のIT補助金は、この新型コロナ問題で「急発進」で公募をかけた特別な申請がありましたが、先の緊急経済対策で5月からツールの登録と補助金の申請が開始されます。今回はイレギュラーづくめで、『よくよく見ると、去年のルールが違うかもしれない』A・B類型とコロナ対策で少々わかりにくいC類型について、支援事業者としてITツールをどのように登録するのかの流れについて説明したいと思います。

2020年IT導入補助金とは

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が『足腰の強い経済を構築』するため、生産性の向上を目的とした業務プロセスの改善と効率化に資する「ITツール」を導入する際の経費の一部を補助する補助金事業です。

今年は3つの類型がある

IT導入補助金で登録できるツールは、その改善できるプロセスの数によってA・Bのいずれかの類型に分けられ、さらに新型コロナ対策で特別な要件を満たすと「特別枠」としてC類型という新しい分類ができました。

種別 Pコード プロセス名 A類型 B類型 C類型
共通プロセス 共P-01 顧客対応・販売支援 この中から1つ以上 この中から4つ以上 この中から1つ以上と特別枠の甲乙丙のいずれかの目的に資するもの
共P-02 決済・債権債務・資金回収管理
共P-03 調達・供給・在庫・物流
共P-05 会計・財務・資産・経営
共P-06 総務・人事・給与・労務・教育訓練・テレワーク基盤
業種特化型プロセス 各業種P-04 業務固有プロセス

ちなみに、業種特化型プロセスとは次のようなものを指します。

まず、自社の開発したツールがどの類型に当たるかの最初の関門に、「大分類Ⅰ業務プロセス」というもののうちどれに何個のプロセス改善に役立つツールかを考えなくてはいけません。それによって、自社のツールがA・B・C類型のいずれに当てはまるかがポイントになってきますので、よく検討してください。また、新型コロナ対応の特別枠ともいえるC類型は、次の甲・乙・丙いずれか1つに該当をさせます。テレワーク基盤などは昨年は申請してもツールとして認められなかったようなものが入ってきたのも特徴です。

甲:サプライチェーンへの毀損対応
 顧客への製品供給を継続するために必要なIT投資をする事業
乙:非対面型ビジネスモデルへの転換
 非対面、遠隔でサービスを提供するためのビジネスモデルへ転換するために必要なIT投資をする事業
丙:テレワーク環境の整備
 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備するための IT投資をする事業

また、A・B類型においては「ECサイトの制作」は対象外となっていましたが、C類型においては「乙」に対応したうえで、共通プロセスの「顧客対応・販売支援」に当たるのではないかと思います。

まずは、ご自分の会社のソフトウェアや制作物が以上の要件に当てはまるかどうかです。

去年のIT導入補助金との違い

昨年との大きな違いは、昨年は判断基準が非常に「グレー」で分かりにくかった、「上記の業務プロセスと効率化or汎用プロセスのうち最低1つ」の機能を含むツールでないと、そのツール単独でユーザが申請できなかったという制度が撤廃されたことです。

ですので、昨年は業務プロセスまでは改善できるし、確実に効率化につながるはずなのに事務局で「審査落ち」されて単独でのツール登録ができなかった・・・。という支援事業者のみなさんも再度、登録のチャレンジがあります。

また、C類型においてはECサイトの制作も申請可能となりますので、ECに踏み出す事業者の方のなかには「どうせやるならしっかりとした出店を」と考えて、小規模事業者持続化補助金では難しいような規模のサイト作りにも活用していけるのではないでしょうか?

オプションと付帯サービスって何?

IT化をするにあたっては、単独の主機能だけでは効果が発揮しにくいのは支援事業者である製作者やベンダーさんはよくご存じのはずです。業務プロセスだけではなくて、導入を検討する事業者が円滑にそのソフトを利用しできるように「オプション」「付帯サービス」も補助経費の対象となります。

オプション

事例

自動化・分析ツール

●特定の業種や業務に使用が限定されず、複数のシステムの高度な連携や解析・分析の機能により生産性向上に寄与するツール。
●ソフトウェア(業務プロセス・業務環境)を和用した業務の自動化を制御するツール。
(例) B I 、 B P( ビジネス・プロセス)分析、作業工 程分析や R P A などの ソフトウェア製品。

汎用ツール
(テレワーク環境の整備に資するツール含む)

●特定の業種や業務に使用が限定されず、広い業務に適用できるソフトウェア。
(例)表計算・ワープロ・簡易データベースやメール・グループウェア等などのSaaSのライブラリーなどが該当する。汎用ツール(テレワーク環境の整備に資するツール含む)用に作成さ れた業務テンプレート(マクロ/ V B A 等の生成物など)もこれに該当する。

機能拡張

●ソフトウェア(業務プロセス・業務環境)の機能を拡張するソフト。
(例)フォーマット変換、バックアップ、ファイル管理などのユーティリティーW E B サーバ、 D B サーバ、システム運用など のミドルウェア パッケージ

データ連携ツール

●ソフトウェア同士のデータ連携を 行うソフトで、 EAI製品など 。
EAI • • • Enterprise Application Integrat ion の 略

セキュリティ

●PC やソフトウェアの保護やデータを 暗号化することにより保護するソフトウェア製品 、認証・監視システムなど。
(例)監査・診断・監視・運用などのサービスは役務(付帯サービス)として申請すること

テレワーク環境を整備するにあたり活用が可能なソフトウェア(オプション)をA · B 類型に交付申請する場合は審査において加点対象となるようです。

付帯サービス 事例
導入コンサルティング ●交付決定後に発生するソフトウェア(業務プロセス・業務環境)の導入に向けた詳細設計(導入計画、教育計画の策定等)などのコンサルティング費用。
導入設定・マニュアル作成・導入研修 ●導入設定・マニュアル作成・導入研修
●上記結果に基づく設定費用、マニュアル作成費用など。
※導入に伴う移動交通費や運搬費、宿泊費は対象外。
保守サポート ●バグ発生時の対応、顧客からの問い合せ対応、バージョンアップ対応他、保守契約などに記載された作業であり導入初年度1年分の費用のみが補助対象。
ハードウェアレンタル
(C類型のみ)
●本事業において定義するソフトウェア(業務プロセス・業務環境)が利用されることを前提として以下の 2 つを対象とする。
1 . デスクトップ型PC 、ラップトップ型PC 、タブレット型 PC 、スマートフォン
2 . 上記 1 .をレンタル導入する際の付属品と して、 1 . に接続し本要 領 ( 9 ) に定める甲乙丙の事業に対応するためのW E B カメラ、マイク、スピーカー、ヘッドセット 、ルーター (Wifi ルーター・アクセスポイント等)、ディスプレイ、プリンター

ツール登録時に上記の「オプション」「付帯サービス」も具体的にサービスが決まっていれば、あらかじめ登録をしておきましょう。ユーザが申請時の判断材料として使えますし、もちろん機能を増強するこれらオプションがあって初めて機能するものですので、補助対象の費用になります。

ツールの審査要件は?

ツールの審査要件は次のようにされています。

・労働生産性向上に寄与すること
・業種の選択が妥当であること
・事務局が指定する対象外の I T ツールに該当しないこと
・業務プロセスと機能の選択が妥当であること
・申請された価格が妥当であること
・ITツールソフトウェア(業務プロ セス・業務環境)に、データ作成などの役務サービスが混在していないこと
・恒常的に使用されるシステムであること

申請は電子申請で行われますが、この際にパンフレットやホームページの内容と異なるものを申請すると審査落ちになりますので要注意です。また、どういう機能のツールなのかがわかりやすい資料を準備しておくこともポイントですね。

支援事業者登録とツール登録の方法は?

自社のツールが対象かどうかを確認したうえで、次にどういった手順で支援事業者登録からツール登録までするのかを確認してみましょう。

IT導入支援事業者とは?

本事業では、中小企業・小規模事業者等に対して、生産性向上に資するIT ツールの提案・導入及び経営診断ツールを利用した事業計画の策定の支援をはじめとし、補助金交付に係る各種申請等の手続きサポート等を行いながら、補助事業を補助対象事業者と共に実施する、補助金制度上の事業パートナーのことをいう。

IT導入支援事業者 登録要項より

導入支援事業者は、ただツールを補助金を活用して購入してもらうだけではなくて、ユーザの経営改善につながるような提案を行いながら補助金を活用してツールを導入してもらう支援をする必要があります。

単独の制作会社やベンダーではその支援が難しいときは、ITコーディネータや中小企業診断士などの専門家とともにその支援体制を構築しましょう。導入時だけでなく、導入後3年間は導入した事業者は経営指標の改善がみられるかを報告し、支援事業者はその数値をチェックする必要があるので、相当程度の能力が必要です。この指標などについては、次回の購入する事業者側のページで確認しましょう。

支援事業者が用意する書類は?

必要な書類は以下の通りですので、事前に準備をしておきましょう。

・要件確認
・基本情報、企業実績、財務状況
・ハードウェアレンタル実施の有無 ( C 類型のみ)
・サポート体制
・情報セキュリティ対応状況
・宣誓事項
・履歴事項全部証明書の写し(発行から3か月以内)
・税務署の発行する法人税の直近の納税証明書(その1もしくはその2)

税務署の発行する納税証明書は「4種類」ありますが、そのうち、今回の審査で有効なのは『その1』と『その2』だけですので要注意です。

納税証明書(その1、その2) サンプル画像

コンソーシアムって何?

例えば、「ソフトウェアの制作会社とベンダー」「制作会社と導入コンサルタント」と言ったように、機能を分けて集団で仕事をしている場合は、この一団でひとつのコンソーシアムとして登録することができます。

この場合は、幹事社の上記のような申請書類が必要となるほか、コンソーシアムの構成要員は個人事業主でもOKとなります。その際にコンソーシアムを構成していることを証明する協定書が必要です。念のため、コンソーシアムは他にどんな書類が必要かを一覧にしました。

・コンソーシアム協定書
以下、構成員の
・要件確認
・基本情報、企業実績、財務状況
・サポート体制
・情報セキュリティ対応状況
・宣誓事項
構成員の証明書としては
①法人の場合:履歴事項全部証明書・納税証明書(その1またはその2)
②個人事業主の場合:運転免許書もしくは運転経歴証明書(もしくは住民票の写し(発行から3か月以内)・納税証明書(その1またはその2)・所得税確定申告書(H30年分もしくは令和1年分)

申請方法は?

上記の書類を整えたら、以下のIT導入補助金のポータルサイトより電子申請をします。その時に上記の用意したものの情報を入力したりその画像やPDFをアップロードすれば終了です。

トップページ | IT導入補助金2023
令和元年度補正予算・令和3年度補正予算「IT導入補助金2023(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」のポータルサイトです。本事業は、ITツールを導入しようとする事業者に対して、ITツール導入費用の一部を補助する制度です。

4月26日(日)現在ではまだ登録サイトやマニュアルは開設されていません。

申請はいつから始まるの?

申請期間は 5月11日(月)~ です。この日になると支援事業者登録の上記サイトがオープンするはずですので、漏らさずに確認してください。現在のところ終了時期は明記されていませんが、例年補助金の公募期間中は支援事業者の登録も受け付けていますので、順次登録をしていくということでもいいかもしれません。

ちなみに交付申請の期間は 5月11日(月)~12月下旬 までとされています。

遡及申請とは?

テレワーク関連の助成金・補助金にかかわる情報でも取り上げましたが、今回のIT導入補助金は一部要件を満たすと、公募前に購入したツールも登録申請が可能となります。

どういうことか?

遡及(さかのぼり)が可能なツールは、あくまでC類型のみです。新型コロナウイルスの影響で業態転換などをスピード感を持って対応しなくてはいけない事業者が、C類型の要件に当てはまるツールを購入した時には、4月7日(日)~5月10日(日)の間に導入したものに限って、ツールの登録申請を5月11日(月)以降に実施して登録されれば補助金の対象になるというものです。

すでに、購入いただいているツールでもC類型に当てはまる支援事業者の方は、登録を済ませてからでもいいので、購入されたツールが補助対象になることを伝えてあげましょう。

以上で、IT導入支援事業者編は終了です。次回の導入する事業者側(ユーザ)にとっての情報と併せてごらんください。

詳しい内容は専門家へお問い合わせを

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